しめった葉っぱの夜のにおい
半分月がななめにかがやく
竹林がそれをかくして
大きなひしゃくが私をすくう
ぎょしゃに、こいぬに、
こぐまに、はねて
そこで笑顔が消えたとき
私はまたアスファルトを歩く
5月末の繁る葉は
湿った空気が含まれていて
それが青い香りを漂わせている
夜の空には斜めに切れた
半分だけの月が浮かんで
歩いていくと竹林が
やがてその月をすべて隠した
すると
頭上に輝く大きなひしゃくが
地上の私をすくい上げる
幾万の美しい星たちの世界だ
輝く音でも奏でるような
静かなまばゆい星たちを
私は軽やかに浮遊する
カペラ輝く王のぎょしゃ座
しっぽを揺らすこいぬ座と
獅子のたてがみにふわっと触れて
三角形を飛び越えたら
りゅうの背中を滑り降り
こぐま座まで大きくはねる
そこで ふと顔を上げる
道しるべの北極星
あの日誓ったあの使命
早く辿り着くために
私はまたアスファルトを歩み進める
その硬さをふみしめて
北極星をしかと見つめて
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