夢に君が会いにきた
胸に残るあの感じ
それは小鳥の羽根音が
心臓たたく痛さにも似る
目を瞑ったままの朝。
ぼやけた沼の中から浮かび上がる途中で、
心に残る何かを感じる。
いつもベランダにやってくる小鳥が
バタバタと何度も羽根を上下に動かし
その生きた全身の小さな駆動音が
心臓の上のほうをたたく痛さにも似て、
氷で作った細長い針を
ちくりと刺して一瞬で溶けるような
あの痛さにも似る。
この記憶に何度も残る感触は
夢の中から続いている。
夢の出来事が思い出せなくても、
何が起こったか、わかる。
夢に君が会いにきた。
まだ目を瞑ったままの朝。
その痛さの心の動きに残る記憶の糸を
君が会いにきてくれたそのシーンまで
ゆっくりと、ゆっくりと、たどり、
隅々まで反芻する。
何度も、何度も。
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